Article
0 comment

LA LA LAND “Audition (The Fools Who Dream)” 対訳

映画”LA LA LAND(『ラ・ラ・ランド』)”の
最後のほうで歌われるこの曲
“Audition (The Fools Who Dream)” が印象的だった。
主人公たち含めて、
皆かろやかに優しい歌声でずっと歌っているのだけど、
これだけは声をはりあげるようにしていたからかもしれない。

歌詞はそんなに悲しいわけでも
必死なものでもない、
でも夢を諦めるか諦めないかの瀬戸際で、
「自由に演じて」と言われて、
光がきらめいて消えるみたいな生き方をした叔母のことを思い出して
彼女の言ったこと、したことを思い出して演じている、
堂々としないと落ちる綱渡りみたいなひりひり感があったからかもしれない。

和訳がみつからないので、
3月に対訳付きサウンドトラックが出るようだけど、
まずはじぶんでやってみます。

_ _ _

My aunt used to live in Paris
I remember, she used to come home and tell us
stories about being abroad and
I remember that she told us she jumped in the river once, barefoot
She smiled…

叔母はパリに住んでいたことがあって
私は、帰って来た彼女が私たちに 海外での暮らしについて、
それと、いちど裸足でセーヌ川に飛び込んだ話をしてくれたことを思い出す
彼女は微笑んで、…

Leapt, without looking
And She tumbled into the Seine!
The water was freezing
she spent a month sneezing
but said she would do it, again

なにも見ずに跳んで
セーヌ川にばしゃんと落ちたの!
水が凄く冷たくて
それからひと月くしゃみが出たけど
でもまたやりたいな、と言った

Here’s to the ones who dream
Foolish as they may seem
Here’s to the hearts that ache
Here’s to the mess we make

夢みる人に乾杯
ばかみたいに見えるかも知れないけれど
痛む心に、
私たちのするめちゃくちゃに乾杯しましょう

She captured a feeling
Sky with no ceiling
Sunset inside a frame

She lives in her liquor
and died with a flicker
I’ll always remember the flame

彼女はその気持ちを心に留めた
限りのない空
額縁におさめた夕暮れ

彼女はお酒と共に生きて、
きらきらと揺らめいて死んでしまった
私はいつもその炎を思い出す

Here’s to the ones who dream
Foolish as they may seem
Here’s to the hearts that ache
Here’s to the mess we make

夢みる人に乾杯
ばかみたいに見えるかも知れないけれど
痛む心に、
私たちのするめちゃくちゃに乾杯しましょう

She told me:
A bit of madness is key
to give us new colors to see
Who knows where it will lead us?
And that’s why they need us,
So bring on the rebels
The ripples from pebbles
The painters, and poets, and plays

彼女はこう言った、
ちょっとの狂気が鍵なの
世界に新しい色を与えてくれる
それからどうなるかなんて誰にわかるっていうの?
そして、それが私たちが必要とされる理由なの
だから反逆者を、
小石で生まれるさざなみを集めましょう
画家を、詩人を、演劇を!

And here’s to the fools who dream
Crazy as they may seem
Here’s to the hearts that break
Here’s to the mess we make

そして夢みるおばかさんたちに乾杯しましょう
気が違っちゃったみたいに見えるかも知れないけれど
張り裂けた心に、
私たちのするめちゃくちゃに乾杯しましょう

I trace it all back to that
Her, and the snow, and the Seine
Smiling through it,
She said she’d do it… Again

全部を辿って思い出してみる
彼女と、雪と、セーヌ川を
微笑みながら、
またやりたいな、と彼女は言った

—————
Composer: Justin Hurwitz
Lyrics: Benj Pasek and Justin Paul
—————

 

 

Article
0 comment

歓喜の歌

【アボカドの木】の後日譚です。

昨晩、別の部屋にいた夫に「いま鼻歌歌ってた?」と訊ねられ、ううん、と答えるとこんなことを伝えられた。
曰く、どこからともなくちいさな鼻歌が聞こえるので、ブラウザで開いたタブのどれかで動画を再生していたっけ、と探すが、再生中のものはない。
その間も聞こえ続けているその歌は、どこかで聴いたことのある曲で、何だったかしらんと聴き入っているうちに小声ながらも自分のすぐ後ろまで近づいてきたように感じ、窓の外から聞こえてくるにしてはおかしい…と振り向いた瞬間に掻き消えた、という。
それは怖かったのではないか、と訊くと、そうでもなかった。こんな曲で…と彼がハミングした曲は、ベートーヴェンの交響曲第9番、歓喜の歌だった。

たしかに朗らかな曲だ。ただ、晴れやかに朗々と、というのではなく、機嫌よく夜風の中を散歩しているような、やわらかな声だったという。もっと聴いていたいような気がした、と彼は言った。

我が家は地面からすこし離れた階にあるが、深夜になると意外なほど大きな音で歩道を行く人(酔っぱらいが多い)の声が聞こえることがある。それにしては小声が近く聞こえすぎ、上下など近くのベランダで歌った人がいるとも時間帯や住人からして考えづらい。納得のいく説明は、みつからなかった。

夜が明けて、昨日土に植えたアボカドのようすを確認し、水をすこし追加して午前中も光がよく当たる場所へ移動させた。今日も風がなくはないけれど、だいじょうぶだろう。

昼になったところで風に揺れるアボカドの影がふと人影に見え、おっとびっくり、という話をしたら、そこで「昨日の鼻歌はアボカドだったのでは?」と夫がひらめいた。
突拍子もないようだけれど、私達の間ではすとんと腑に落ちるようなところがあった。

なぜなら、そのアボカドの小さな木にとって、葉に落ちる陽の光、幹をしならせる風、外のいろいろな音、それらに生まれて初めて触れたのが昨日だったから。園芸に詳しくない私達の植え方ではすこし心もとなかったけれど、一粒の種からしっかりと伸びた細い二本の木は思いの外柔軟にしなっていて、それになんだか気持ちいい天気なのに風を心配して中に入れてしまうのはもったいない気がして、時々折れていないか飛んでいっていないか確認しながら外に出しておいた、その夜だったから。
だから彼女がよろこんで歌ってくれていたなら納得がいくし、うれしいことだな、と思った。

花さく丘べに いこえる友よ
吹く風さわやか みなぎるひざし
こころは楽しく しあわせあふれ
ひびくは われらのよろこびの歌

(岩佐東一郎作詞・ベートーベン作曲/文部省唱歌「よろこびの歌」)[参照サイト

 

 

Article
0 comment

WOODKID “Iron” “Run Boy Run”

夫が「最近のゲームはきれいですごいなあ」といって眺めていた予告編集にこのゾンビゲームがあった。登場人物のパルクールのような動きと音楽がよく合っている。(ゾンビにご注意ください)

それで、このホワーとした歌い方と勇ましい曲調が気になって作曲者を調べてみたら、公式ミュージックビデオが物凄くよくて、フランス人映像作家 Yoann Lemoine(ヨアン・ルモワンヌ)が、ミュージシャンWoodkid(ウッドキッド)としてリリースした楽曲に自ら手がけた映像をつけたもの、つまり作曲・歌・映像をすべて自分でやったということで、才能に溢れた凄い人だということが判明した。

iron1

iron3

iron2

iron0

iron4

iron5

iron6

私がきれいだなとおもったところを切り出したらシンメトリーな画像ばかりになってしまったけれど、他にも吠える犬、太鼓を叩く人、後ろ脚で立ち上がる馬、飛ぶ首飾りなど、全てがスローで、白黒の映像であることを確実に活かしていて質感が浮かび上がるようです。石や羽、雫や土埃、肉の振動や視線の鋭さも色が無いことで形状や質感へ目が行き、動きや構図ふくめて全てが美しい。しかも音楽と映像どちらかを取ってつけたようにしてあるものが多い世の中で、”存在感のある歌声と音楽だけでも格好いいもの”に”無音の作品だとしても充分見応えのある力強くて綺麗な映像”が付いてこの合い具合というか世界観の一致、一人の人で作っている強みだろうか。曲の歌詞は具体的なものではないし映像に出てくる不思議な人たちに説明は一切ないし彼らがどこへ向かっているかも不明なのだけど、こちらの想像に拍車をかけるような仕上がりになっていて、すばらしい未完の絵本を手に入れたような気持ちになる。

Woodkid – Iron

(here innocences burn in flames

A million mile from home, I’m walking ahead

I’m frozen to the bones, I am

A soldier on my own, I don’t know the way

I’m riding up the heights of shame

I’m waiting for the call, the hand on the chest

I’m ready for the fight, and fate

The sound of iron shocks is stuck in my head,

The thunder of the drums dictates

The rhythm of the falls, the number of deads

The rising of the horns, ahead

From the dawn of time to the end of days

I will have to run, away

I want to feel the pain and the bitter taste

Of the blood on my lips, again

This deadly burst of snow is burning my hands,

I’m frozen to the bones, I am

A million mile from home, I’m walking away

I can’t remind your eyes, your face)

全画面にしてぜひご覧ください。こちらは怖いものはないです。犬がちょっと怒ってる。で、その続きのような映像(男の子はちょっと『かいじゅうたちのいるところ』を彷彿とさせます)と、逃げろ、少年、逃げろ、という歌のミュージックビデオ。これが冒頭のゾンビゲーム予告に使われていた曲なのですが、こちらの映像にも魔物がたくさん出てくるのですが、全然違っておもしろい。左から右への進行はIronとおそろいです。

Woodkid – Run Boy Run

この11分間の映像と音楽もきれいでした。

Woodkid feat. Max Richter “Embers”「The Golden Age」(2014)

WIIDKID : http://www.label-gum.com/collections/woodkid