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映画『メッセージ』をみて、原作『あなたの人生の物語』を読んだはなし(途中からねたばれあり)

2017年5月19日から全国公開のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『メッセージ(原題:”Arrival”)』をみました。
主演はエイミー・アダムス。2007年のディズニー映画『魔法にかけられて(原題:”Enchanted”)』でお姫さまの役をやっていた方です。

衣装も性格もフワフワでかわいかったですが今回は地味に地道に仕事にとりくむまじめな言語学者です。

ある日突然このような巨大な謎の物体が地球上のあちこちに現れる。が、その目的が皆目分からず、軍に協力を求められた言語学者のルイーズはその物体の中で自分と地球の未来を変える衝撃の事実を目の当たりにする…というおはなし。

とても印象的な映画で、お時間がある人ならなるべくみてほしい、そして感想が聞きたい、と思ったのですが私の力では説明がむずかしい。
ので予告編をよかったらご覧ください。

私は海外版の予告編をみた限りでは、フシギ系のSFかな?と思っていたんです。なぜならたぶん「巨大な柿の種か」と一時話題になったこの物体が『2001年宇宙の旅』のモノリスを彷彿とさせるから。

でも全然そんなことなかった。
派手で激しいアクションがあったりモンスターなど敵と戦うものではない。べたべたで、これが恋愛だ、家族愛だ、という、舞台がSFなだけの家族ドラマでもない。
ただただ発想が奇抜だったり難解で哲学的過ぎるので分からない、ということもない。
そして分かり易い血も、涙も、画面上には流れない。たしか、そんなには。
でも確かにそこに体温と、情熱のあとに残る悲しみや寂しさと、困難な道を選ばざるをえない苦悩があるのがありありと伝わってきて、自分の直ぐ側にあるものであると同時にSFでしかありえない部分を持ち、もしも、で考え始めると止まらないような深く長く考えざるを得ないテーマで、
ともかく、私はものすごくこの主人公に同情してしまいました。
『インターステラー』と比較もされているようですが、私はこちらのほうが好きでした。落ち着いた緊張感があって。

『シン・ゴジラ』樋口真嗣監督が責任編集をした、
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』押井守監督、
『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』前田真宏監督と樋口監督が話している特別映像もごらんください。

あとは、サウンドトラックのなかで特に良かったMax Richterの”On the Nature of Daylight”という曲を置いておきます。かけていただいて、未見のかた、もし興味と時間をお持ちでしたら劇場へ向かってみてください。み終わったかた、続きをご覧ください。

この下にはご覧になった方向けのはなし、感想を書こうと思います。

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原作が短編小説だというのを後から知って驚いた。
いつもは、原作がある映画だとやはり映画を先にみてしまうとイメージが固定されてしまうので未見の場合は「原作を先に読もうか」、み終わってから知った場合は「あー先に読んだほうがより(どちらも)楽しめたのかなー」と思うのだけれど今回ばかりは、全く映画から”短編小説み”を感じなかったので
・このはなしがどうやって短編に収まっているのか
(映画が付け足したところ、また、もしあるのなら省いたところはどこか)
また、一定数は必ずいるものだけれど
・「原作のほうが良かった」という人がいるのはどういうことか
ということと、調べるうちに原作者のテッド・チャンが非常に遅筆で年に一作短編を発表するかしないか、であり、その作品はどれも非常に緻密、精密である、ということを知り、そのあたりがどうしても気になりすぐに原作の短編が入った短編集を買い求めた。