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ギレルモ・デル・トロの2018ゴールデングローブ 監督賞受賞スピーチ(和訳)

ギレルモ・デル・トロ監督が好きです。

ご本人がトトロみたいなので好きです。
見た目は大きなトトロのようにふっくら、でも内気で気弱な少年の姿が浮かんでくるような動き方や話し方をされて、作品はものすごく作り込まれたダーク・ファンタジーが多く 登場するモンスターたちはとびきり奇妙、そして”ふつうでない”登場人物に寄り添う、…というか”ふつうでない”者側からのお話を描かれるので好きです。

 

 

新しい映画「シェイプ・オブ・ウォーター」で2018年ゴールデングローブ 監督賞を射止めた彼が受賞スピーチでモンスターに感謝し、スピーチ終了催促の音楽を止めた、という話を聞き、動画をみました。これです。

全文の日本語訳が見当たらなかったので、訳しました。
間違いがあるかもしれませんが、素敵なスピーチですので、ぜひ。

—————————-

(Wow! … I was hoping to wipe my nose with this.
[Laughter] )

Since childhood, I’ve been faithful to monsters.
I have been saved and absolved by them
because monsters, I believe,
are patron saints of our blissful imperfection
and they allow and embody the possibility of failing and live.

For 25 years, I have handcrafted very strange little tales made of motion, color, light, and shadow.
[*Sighs*]
And in many of these instances, in three precise instances,
these strange stories, these fables, have saved my life –
once with “Devil’s Backbone,” once with “Pan’s Labyrinth,” and now with “Shape of Water,”
because, as directors, these things are not just entries in a filmography –
we have made a deal with a particularly inefficient devil that trades three years of our lives for one entry on IMDb.
[Laughter]
And these things are biography, and they are life.

And I want to thank the Hollywood Foreign Press Association, Fox Searchlight,
[Slow music plays]
And I wouldn’t be here – lower the music, guys, one second.
[Laughter and applause]
[Chuckles]
It’s taken 25 years. Give me a minute.
[Chuckles]
[Cheers and applause]
Give me a minute.
[Cheers and applause continue]
[Music continues]
I wouldn’t be here without my cast, my crew…
[Music fades]
…and I want to mention a few fantastic women sitting at this table –
Sharon, Nancy, Octavia, Sally, Kimmy, and Vanessa –
without whom I wouldn’t be here.
[Cheers and applause]
Thank you.
My monsters thank you.
And somewhere, Lon Chaney is smiling upon all of us.
Thank you very much.
[Cheers and applause]

(わお! … これ(カンペ)で鼻かもうとしてたところだよ。
[一同笑] )

私は子どもの頃から、モンスターたちを大切に思ってきました。
彼らに私は救われ、赦されてきました。なぜなら
モンスターたちは、私が信じるに、
私たちの幸福な不完全さ(blissful imperfection)の守護神であり、
彼らは”失敗”と”生きること”の可能性を許し、体現するからです。

25年の間、私は”動き”、”色”、”光”と”影”でできた、とても奇妙で小さなお話を
手作りしてきました。
[*タメイキ*]
そしてその沢山の例の、正確にはそのうちの3つ、
その奇妙な物語、おとぎ話が、私の人生を救ってくれました ―
ひとつは「デビルズ・バックホーン」、ひとつは「パンズ・ラビリンス」、
そしてこの「シェイプ・オブ・ウォーター」です。
なぜなら、監督として、これらはフィルモグラフィーに登録されるだけのものではなく ―
(我々はとくべつ無能な悪魔と契約して寿命三年分とIMDbへの登録ひとつを交換してるんです)
[一同笑]
これらはバイオグラフィーであり、人生だからです。

また、ハリウッド外国人映画記者協会、FOXサーチライトにも感謝したいと思います。
[”そろそろ終了して”を示すゆったりした音楽が鳴り始める]
そして私は ― 音楽をとめて、たのむよ、ちょっとでいいんだ。
[一同笑+拍手かっさい]
[クスクス]
25年かかったんだ、もうちょっといいでしょ。
[クスクス]
[一同拍手かっさい]
1分でいいから。
[一同拍手かっさい続く]
[音楽も続く]
私はキャストの皆、クルーの皆がいなければここに立てなかったでしょう…
[音楽小さくなり止まる]
…それとこのテーブルに座っている幾人かの素晴らしい女性たちについても述べたいと思います、
シャロン、ナンシー、オクタヴィア、サリー、キミー、そしてヴァネッサ、 ―
あなたたちなしには私はここにいません。
[一同拍手かっさい]

ありがとう。

私のモンスターたち、ありがとう。

ロン・チェイニーはお空のどこかで笑っていることでしょう。

ほんとうにありがとう。

[一同拍手かっさい]

 

—————————-

“私のモンスターたち”に寄り添い、寄り添われて生きてきた少年がそれらへの愛情を動力に人生を切り開いてきて沢山の新しい作品を生み出し、それが多くの人に愛されて素晴らしいと思われ今回の賞を獲得し、その受賞スピーチの最初と、最後で(おそらくはずっと昔から心の中で繰り返してきた)感謝を改めてしていると思うと (想像ですが)、勝手にちょっと胸が熱くなりました。

この「シェイプ・オブ・ウォーター」は彼が6歳の頃に
“もし「大アマゾンの半魚人」の半魚人とジュリー・アダムスの恋が成就したら”
という物語を考えたところが始まりだそうです。

3月からの公開を楽しみにしています。

 

 

参照:
The Shape of Water (FOX Searchlight Pictures)

Guillermo del Toro Wins Best Director at the 2018 Golden Globes (Youtube)

@shapeofwatermovie (instagram)

 

メモ:
①昔のモンスター映画をみる。ロン・チェイニー。
②これらは多分買う。

i. 小説版

ii. アートブック

 

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WOODKID “Iron” “Run Boy Run”

夫が「最近のゲームはきれいですごいなあ」といって眺めていた予告編集にこのゾンビゲームがあった。登場人物のパルクールのような動きと音楽がよく合っている。(ゾンビにご注意ください)

それで、このホワーとした歌い方と勇ましい曲調が気になって作曲者を調べてみたら、公式ミュージックビデオが物凄くよくて、フランス人映像作家 Yoann Lemoine(ヨアン・ルモワンヌ)が、ミュージシャンWoodkid(ウッドキッド)としてリリースした楽曲に自ら手がけた映像をつけたもの、つまり作曲・歌・映像をすべて自分でやったということで、才能に溢れた凄い人だということが判明した。

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私がきれいだなとおもったところを切り出したらシンメトリーな画像ばかりになってしまったけれど、他にも吠える犬、太鼓を叩く人、後ろ脚で立ち上がる馬、飛ぶ首飾りなど、全てがスローで、白黒の映像であることを確実に活かしていて質感が浮かび上がるようです。石や羽、雫や土埃、肉の振動や視線の鋭さも色が無いことで形状や質感へ目が行き、動きや構図ふくめて全てが美しい。しかも音楽と映像どちらかを取ってつけたようにしてあるものが多い世の中で、”存在感のある歌声と音楽だけでも格好いいもの”に”無音の作品だとしても充分見応えのある力強くて綺麗な映像”が付いてこの合い具合というか世界観の一致、一人の人で作っている強みだろうか。曲の歌詞は具体的なものではないし映像に出てくる不思議な人たちに説明は一切ないし彼らがどこへ向かっているかも不明なのだけど、こちらの想像に拍車をかけるような仕上がりになっていて、すばらしい未完の絵本を手に入れたような気持ちになる。

Woodkid – Iron

(here innocences burn in flames

A million mile from home, I’m walking ahead

I’m frozen to the bones, I am

A soldier on my own, I don’t know the way

I’m riding up the heights of shame

I’m waiting for the call, the hand on the chest

I’m ready for the fight, and fate

The sound of iron shocks is stuck in my head,

The thunder of the drums dictates

The rhythm of the falls, the number of deads

The rising of the horns, ahead

From the dawn of time to the end of days

I will have to run, away

I want to feel the pain and the bitter taste

Of the blood on my lips, again

This deadly burst of snow is burning my hands,

I’m frozen to the bones, I am

A million mile from home, I’m walking away

I can’t remind your eyes, your face)

全画面にしてぜひご覧ください。こちらは怖いものはないです。犬がちょっと怒ってる。で、その続きのような映像(男の子はちょっと『かいじゅうたちのいるところ』を彷彿とさせます)と、逃げろ、少年、逃げろ、という歌のミュージックビデオ。これが冒頭のゾンビゲーム予告に使われていた曲なのですが、こちらの映像にも魔物がたくさん出てくるのですが、全然違っておもしろい。左から右への進行はIronとおそろいです。

Woodkid – Run Boy Run

この11分間の映像と音楽もきれいでした。

Woodkid feat. Max Richter “Embers”「The Golden Age」(2014)

WIIDKID : http://www.label-gum.com/collections/woodkid

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ひまわりホール・こどもアートフェスティバル2016

名古屋市中区役所からのお便りでチケットの抽選があることを知り、ウェブで応募してみたらみごと当選したので桜通沿いにある損保ジャパン日本興亜ビル内ひまわりホールにて開催されていた”こどもアートフェスティバル2016″で人形劇を観てきました。
運営団体は愛知人形劇センター。栄から帰るときに前を通りがかって気になっていたのでうれしいです。札幌市東区の人形劇場と図書館やまびこ座に連れて行ってもらうのが幼少期とても好きだったので、子どもたちにもそういう場所を探していたところで…(今調べたらやまびこ座がご健在のようでうれしい。なつかしい)。
今回のイベントでは2日間にわたりいろいろな劇団による述べ30作品もの公演がされていたようなのですが、なにぶん1歳児と3歳児なので、2作品が限界かなーと思って絞りました。落語もやっていたようなので、もし毎年噺家さんが来ていてもうすこしふたりとも大きくなったら、お噺聴くのもいいなあ。

ひとつめは人形劇団くりきんとん「モーリーのみつけもの」。いもりのモーリーがみつけものと奮闘するお話が弾き語りで進んでいきます。はげたかが腕をぱたぱたするところとふんころがしのスピーディーなころがしぷりが可愛かった。子らも9割くらい観ていました。

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終了後に記念撮影タイムがあった!
抱いたままの自撮りだったので躍動感あるかんじになってしまいました。長男はモーリーと握手。

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眺めのよい食堂で休憩をして、ゆうすけ座「はらぺこあおむし」を観ようと思ったのだけど、次男がぐずりだして途中退室!残念ー。
授乳後に1階エントランスで自由観覧だったパネルシアター(紙の人形劇)を観せてみたら二人とも集中していました。あと人形たちの展示スペースがあった。

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キャーハカセー!

来年はもうすこし多く長く観られるかな…?
このホールでどんな劇をやっているかたまに調べておこうと思いました。子らはまだ小さいので、こうしてフェスで30分ほどの作品をござの上で観られるのはよい機会でした。

(はじめの画像はfacebookより)

ひまわりホール
名古屋市中区丸の内3-22-21
損保ジャパン日本興亜名古屋ビル19F
(こどもアートフェスは1、17、18Fで開催)

特定非営利活動法人 愛知人形劇センター
http://aichi-puppet.net/

参照:
こどもアートフェスティバル2016 ちらし
(PDF)

 

 

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ギャラリーMUNO・野口優子『Winter / 季節の記憶』

先日アイスクリームを買ったぼのむどぅねーじゅの奥に写真作品を中心とした展覧会などを行う新しいスペースができたとのことで、うかがってきました。

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(MUNO HPより)

ぼのむどぅねーじゅ入り口の左脇を入っていくと奥にガラスの扉がありました。スペースとしては狭めですが、とても静かで、作品を落ち着いてじっとみることができる空間でした。

今回は野口優子さんというかたの写真展で、上にお借りした画像の右側の馬の写真が気になったのがきっかけとなり拝見しました。左側の霜がおりた植物も。
これからの季節の訪れを感じる、という意味で「冬の足音がする」といったりしますが、訪れてからも足音はする、その存在感について理由や根源のようなものを考えたり擬人化して性格を考えたりする遊びは誰しも多少なりともやったことがあるのではないかな と思うのですが、”今現在自分の周りを歩いている冬の足音”を聞くような写真が幾枚もありました。かの写真の馬は、冬の朝を具現化したような存在感だった。もっともっと大きな版でみたかったです。

今回の展示が第一回展覧会で、10月30日までだそう。
(我が家から行きやすいということもあって、)これからも素敵でおもしろい作品展を楽しみにしています。

野口優子
http://noguchiyuko.tumblr.com/

MUNO
名古屋市中区大須一丁目24-51 バウハウス大須1F
HP:http://muno-no-hito.com
facebook:https://www.facebook.com/munospace/

 

 

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まねき屋さんの張子

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名古屋の特集ムックN:BOOKの創刊号で紹介されていて知ったまねき屋さんの張子です。独学で学ばれた、大野博之さんという方が名古屋市内でお一人で作っていらっしゃいます。手のひらに乗る大きさで、とてもかわいい。しかも起き上がりこぼしになっていてゆらゆらします。

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この鼻高天狗と烏天狗は、東京は台東区谷中の雑貨店イリアスでお盆の時期に開催されている「お化け物産展」のため2014年に作られたものがブログに掲載されていて、これはほしい!となり、伺ってみたところ受注製作も数週間でしてくださるとのことでお願いしたものです。烏天狗だけでも、と思いましたが、並ぶと親分と弟子感がでて味わい深いので鼻高天狗もお願いしました。調べてみると烏天狗が必ずしも下っ端というわけではないらしいので、仕事仲間(?)のふたりという感じで今はみています。そういわれてみれば同僚にみえる。

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服のふわふわした白いやつが表現されていてかわいい。伝統的な、胡粉の下地に千代紙を貼り付ける方法をとり、それだけでは”すぐ汚れてしまって実用性がない”‘(ご本人談)ので保護としてクリアラッカーをかけてあるつくりで表面につやがあります。子どもたちにはまだ怖くて貸せないけれど、私にとっても扱いやすいのは助かります。

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ねこのうしろです。ぬるん。
まねき猫は種類が沢山あるのですが、悩んで、お腹に”妙”とある”妙な(る)ものをまねく猫”とお腹に”厄”とあり手を下げている”厄をまねかない猫”にしました。まねかないシリーズは”悪”とか”災”とかもあります。”妙”は「たえ」と読むか「みょう」と読むかで違ってくるというか、両方来たらいいなとおもしろく思いました。

イリアス限定のどろぼう猫柄(ほっかむりをしている)とかベニテングタケ柄とかもあったようで、よいです。イリアスがそもそもよいです。在住のかたはぜひ。
通販の際も、着彩の特注を快く受けてくださったり、個体差があるため…と数枚の写真を添付して選ばせてくださったりと、とても丁寧で優しい方でした。
私が次に狙っているのはこの”はぢっかき”です。ふふ。