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黒髪にこだわりがあるわけではなくて

メンテナンスが大変そうかな?といういわゆる女子力の低い理由で髪はずっと黒いままなのだけど、
一度だけ髪の色を染めた事がある。
しかも青に。

小学生のころからずっと母親とお揃いの美容師さんに切ってもらっていて(一番初めのオーダーは「セーラーマーキュリーの髪型にしてください」で30cmくらい切ってもらった 平安時代かっていうくらい長かった)、ぜったいにパーマや染めるのはだめだよ、傷むから…とパーマ液の香る美容室で何度も真面目に言われたのが効いていたのか、あまり髪の色を明るくすることに興味が沸かなかった。

上京し大学生活もすこし落ち着いたころ、通学に使っていた吉祥寺駅で、「カットモデルをしていただけませんか」とおずおず声をかけられた。小柄な、同い年くらいの女性でSさんといった。Eメールがあるというのは便利なもので、即断即決せずともよく、家で落ち着いて連絡をとったところ、カットコンテストに参加する予定の美容専門学校生で、学校も毎年開かれるそのコンテストも実在するものだったのでここはひとつカットモデルをしてみることにした。

まず、椅子のうえにぽかんと座る私を前に鏡越しに先生とSさんが「暖色より寒色が合うのでは」「このカットがやりやすいんじゃない」と相談をし、若干の私の希望も聞いてもらえて、数度の打ち合わせとカットと衣装合わせをした。私の頭のかたちとつむじの位置を先生がSさんに向かって褒めていたのがうれしいような、くすぐったいような、これはいい魚が釣れましたね!みたいな感じでおもしろかった。
一筋の鮮やかな色を入れるのが縛りだったのか、忘れてしまったけれど、ボブカットの右側の一束が真っ青という髪型になった。
本番、スタジアムのようなところに大勢の学生とカットモデルの組が集結し、1畳ほどの割り当てられた場所で最終的なカットとセットをして評価。その間だけじっとしていなくてはならなかったけれど、無理なポーズではなかったし、Sさんの緊張ぷりに比べたら私は楽なものだった。コンテストは無事学校に指定された基準を越えられたようでよかった。
折角ではあったけれど青い束は黒く染め直してもらい、この機にすこしゆるいパーマをかけてみようとおもったのだけれど、そのときに初めてそこそこ柔らかいほうだと思っていた自分の髪はパーマのぜんぜんかからない強情さを持っているということを知った。脱色し青く染めて黒く染めてパーマもすこしかかった部分は当然のことながら枯れ草のようにポッサポサになり、トリートメントがすこしも追いつかず、”楽しかったけれど、やはり染めたりパーマは今後いいや”と思ったのであった。

今は夫が髪を切ってくれる。
彼は美大生時代に自分もクラスメイトの髪も切っていてそこで腕が磨かれたのだという。
どのような髪型にしたいかという相談のとき、「それは似合わないと思う」「セット大変だと思う」「面白い感じになっちゃうと思う」と率直に言ってもらえて、カットも美容院なみに上手なうえに微調整も繰り返してくれて、ありがたいことである。今度彼の指がしっかりと収まるよく切れる鋏を新調したいと思っている。

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migと申します。 二男児の母猫です。 得た知識やものの感想など纏める場所を設けようと思いました。 あとはのんびりした日記です。