Article
0 comment

千種区の書店・BookGalleryトムの庭

[migmemonagoya]

千種区は東山公園の書店、BookGalleryトムの庭です。
先日ご紹介したON READINGの近くです。

tomnoniwa1 東山公園駅1番出口の西隣=徒歩0分という素敵な場所です。
写真右端、屋根が斜めの建物です。

tomnoniwa2

tomnoniwa3

一階はkokoti cafeというカフェが入っていて、書店へはこの階段を上ります。kokoti cafeさんでは北欧雑貨が少し販売されていました。小さな子たちもいて、ほがらかな声が吹き抜けを通して聞こえてきました。

tomnoniwa4

梁が丸く、ロード・オブ・ザ・リングのビルボ・バギンスの家を思い出します。「がまくんとかえるくん」がひとそろい並んでいました。ほしい。

沢山の絵本の面を出して並べてくれていて手に取りやすいです。なおかつ、ON READINGさん同様、コーナーを作ってあっても”◯◯コーナーです!”とポップを置くわけではないので、じっくり眺めていくと発見があります。

tomnoniwa5

ゴフスタイン特集が手前に。

tomnoniwa6

中段はウクライナ、ノルウェー、ロシア…寒い国のお話特集…?

tomnoniwa7

階段の近くではムーミン特集。足元には洋古書がトランクに入って落ち着いていました。

bought@tomnoniwa

迷ったけれど今回は福音館の新しいのだけを購入。
ハエトリグモをとっても可愛く描いてあるかがくのとも(長男用)と、
ねこ(の鳴きまね)がすきな次男に「みゃーん みゃーん」。
一歳半の次男は意外と丁寧に紙の絵本を読んでいたりもするのですが、テンションが高くなってくると勢い余って破くので、まだボードブックが安心です。
トムの庭がお勧めする102の絵本」にもあるけれど、小さな頃自分が読んでいて好きだった「ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします」、「ぶたのたね」、「おじさんのかさ」、「てぶくろ」ははやく買ってあげたいなあ。あとは「ゴムあたまポンたろう」「おばけパーティ」もゆるいかんじが良さそうで気になっている。

BookGallery トムの庭
http//tomnoniwa.petit.cc
〒464-0807 名古屋市千種区東山通4-8 cafe&kichen エストネ2F
11:00 – 19:00
水・木曜定休

 

Article

読書について.

事情があって小さな頃よく病院の待合室にいたので、
3,4歳のころだったか、そこに置いてあったドラえもんで文字を覚えた。
親の趣味(仕事のためもあったかも)で絵本が沢山あったのも影響して
本を読むのが好きな子どもで、幼稚園の学級文庫は読破し、
小学校では図書館に入り浸り借りて帰って家でも読み、
中学校の図書館はいまいちだったので持参したものをずっと読んでいた。自分の区や隣の区の図書館へ電車で出かけた。
母親もそういうタイプだったらしく、遺伝らしい。
母はいまでも毎週のように最寄りの図書館から本を借りてきて読んでいるようだけれど、
私はいま恥ずかしながら読書ペースはだいぶん落ちてしまった。
いまはロベルト・ボラーニョ『2666』が中断されていていけない、かなり分厚いのに。
あとエリック・マコーマック『隠し部屋を査察して』も途中だけれど、
いしいしんじ 『海と山のピアノ』を買って読みたい気持ちが高まっている。
夫は怪談本の収集家で、おもしろそうなものを沢山買い続けているので
怪談本にも読みたいものが沢山ある。
ふたりとも読むのは遅いのに、よく欲しい本をまとめて購入するので、
積ん読の山が高い。老後の心配は全然いらない感じだ。

よく言われていることだろうけれど、読書には
著者の脳内で展開されたお話を文字を通して自分の脳内に自分なりに展開する、
映像をみるのとはまた違うおもしろさがあると思う。
起こり得ないホラーやファンタジーも可能になるし、
数日間の出来事をじっくり描いているものを数日間かけて読めばその出来事を体験したように感じられる。
映像作品も好きだけれど、自分の想像力をフル回転させるのが(疲れるが)心地よい。
子どもたちにもその楽しさや心地よさはぜひ知ってほしいと思っている。

自分が親に読み聞かせをしてもらうのが好きだったので、自分の子にもしてあげたいと思いつつ、
なかなか夜も朝もばたばたしてしまってその時間を作り出せない。
二人とも放っておくと絵本で遊び出し壊してしまうので注意しつつ、もっと読んであげたい。
とくに最近下の子が読み聞かされるおもしろさに気付いて、読ませようと「はい」と言って本を渡してくるので。

Article

ブング・ジャム『筆箱採集帳』と阿部了/阿部直美『おべんとうの時間』のよさ

人の持ち物をまじまじみるのは楽しいものだ。
無礼にあたることが多いのであまりそうしないけれど、
きっと他人の家の靴箱、箪笥、本棚、鞄や化粧ポーチの中身などなど、
可能であれば持ち主にインタビューしながら
まじまじみることができたら楽しいだろうなと思う人も多いのではないだろうか。

この中で特に好きなもの、こだわっているものはどれ?
機能性重視、おしゃれ度重視、価格重視?
どこで買ったの? どうやって見つけたの?
など、のんびり根掘り葉掘り訊いてみたい。

おそらく、普段使いのものほどその人が表れるから。
おそらく、自分の知らなかったもの、お店、整理方法、意識などがあり、
どんどん自分が拡張されていくような気がするから。
おそらく、その人と近づけるから。あるいは、色々な想像ができて楽しいから。

(だから他人が撮った写真をみるのも好きだ。
必ず、被写体への気持ち あるいは”写真を撮ること”への気持ちや姿勢がどこかに表れているから)

それで、その”人の持ち物をまじまじ拝見したい!”という気持ちを満たしてくれる本が
家には何冊かある。
特に好きなのが、ブング・ジャム「筆箱採集帳」と阿部了/阿部直美「おべんとうの時間」だ。

前者は、
文房具芸人(と自称されてる)の多胡壁氏さん、文具王の高畑正幸さん、
色物文具専門サイト「イロブン」主宰のきだてたくさんの3名からなる文房具マニアユニット”ブング・ジャム”による、
イラストレーター、専門学生、会社員のかたをはじめ
小学生漢字王、保育士、陰陽師、漆芸家、36やscosのオーナーさんなど、59名(現在65名に増えた増補・新装版が出ているもよう)のさまざまな筆箱を中身ごと覗ける一冊。

写真がまず、持ち主のすがたかたちは一切なしで持ち物のみ、白い背景にいさぎよく配されていてとてもよい。
そこにブングジャムの皆さんからの写真へのコメントやインタビュー内容が少し、あとは中身である文房具のデータが小さく並ぶ。

大切に使われるべくして生まれたものが使い込まれて風格を持つケースは、紳士の道具にはよく見られることだが、ごく普通の日用品が酷使され続けた結果、持つに至った説得力にもまた、前者とは異なる魅力がある。

気取らず、それでいて必要なものが詰まっているこのセンス。実用性だけではない、きらりと光る何かがある。早く使って、と今にも踊り出しそうな筆箱である。

など、インタビューの中に混じるコメントにも文房具に耳を澄ませるような愛情が感じられて、うんうん、と思える文章でよい。

後者は、
夫婦である著者のお二人が日本各地へ取材にゆき、基本的に一般の人たち
(職業や年代はさまざま)39名のお弁当とお話をまとめたもの。
元が全日空の機内誌『翼の王国』に連載されていたものなので、
その人のこちらを向いた全身写真が、右頁。
ほぼ実物大かなという大きさの真正面からのおべんとうの写真が、左頁。
めくると、その人のインタビューと食べているところの写真。
という構造で、どんどん並んでいる。
こちらは発言をまとめた文章になっているので、独り言を読んでいるような気持ちにもなるし、おべんとうの直接の話ではなくその人の暮らし方、作ってくれる人との関係、ほかの好きなおかずの話など、人生をちらりと垣間見るような内容で、
食べているところの写真は皆すこし照れくさそうだったり笑っているところがよい。

どちらも、いつみても、どこから読んでも、おもしろい本だ。

 

Article

ますむらひろし『ヨネザアド幻想』と幼少期の本棚

”ますむらひろし”という80年代から活躍している漫画家さんがいる。
“ヨネザアド”という架空の大陸の、”アタゴオル”という架空の街を舞台にした作品を主に
描いてきた作家さんで、二足歩行の喋る猫が出てくる。
というかこの世界では人間は少数派で、そしてヨネザアドには猫の目時計があり、
セミの天ぷらがあり、毛だらけの飛行機がある。
ちょっと変わった世界なのだ、すべてが繋がっている童話のようで小さな頃から私にはとても居心地が良かった。

私は
『アタゴオル物語』
『夢のスケッチ』
『アンダルシア姫』
『コスモス楽園記』
『アタゴオル玉手箱』
『ペンギン草紙』
などを繰り返し読んだ。宮沢賢治原作の
『雪渡り十力の金剛石』
『銀河鉄道の夜』
も読んだがアタゴオルシリーズのほうが好きだった。
それら全ては父が趣味で買い揃えて書庫に置いてあったものだった。
子ども時代を過ごす自宅の本棚はけっこうその後の人生に影響を与えると思う。
子どもはわりとてきとうに選ぶけれど、気に入ったものは繰り返し読むので、
揃えてある幅は広いか親がぜひ読んでほしいとか大好きというものにしておきたいといま思う。
私の実家は絵本がかなりの量あったが これを子に…という感じではあまりなく、
親が気に入ったものをどんどん買っていくうちにそうなったらしい。
それらの絵本と、手塚治虫や大島弓子やいがらしみきおの漫画、
村上春樹や赤瀬川原平の著書をジャケ読み(?)する中でお気に入りが増えていった。
で、我が家は美術書とホラー小説が大量だけどどうなるかしらん。
(ちなみに私が子どものころ読んで衝撃を受けたのは
大槻ケンヂ『くるぐる使い』と岩明均『寄生獣』…)

話は戻って今年、『ヨネザアド幻想』という本を買った。
自分で買った初めてのますむらさんの新刊である。
といってもこれまでの作品の中から、彼の

故郷、米沢を色濃く反映させて創った作品や米沢を舞台にした作品群を一同に会した作品集

(ヨネザアド・カタツムリ社HP 『ヨネザアド幻想について』より)
とのことだけれども、読んだことのない初期作品が沢山収められていた。
ますむらさんのWikipediaにもどなたかが書いていたが、
初期作品に出てくる猫は人間の愚かさを指摘し罰を与えるような、
ほぼ化け猫のような恐ろしい描かれ方をしている。
そこから徐々に人と猫が対等になっていったのだなということがよくわかった。
(まずはじめに「人間だけが優れているという描き方をしたくない」という考えがあったのだそうだ。)
大きな大きな本で、加筆も沢山されているとのことで、見応え充分の一冊。
アタゴオルシリーズは私も揃えて子どもたちに読ませたいなあ!とあらためて思った。
ちなみにご本人から、Twitterで『霧にむせぶ夜』はちょっぴり怖いのでお子さんは注意!とのリプライを頂きましたが私が見てもヒッてなるコマがあった。コマというかページ。
随分前に猫町のギャラリーで偶然お見かけした時、ヒデヨシみたい!と思ったのは秘密。
あといつまでも私の憧れは聡明で行動力のあるツキミ姫です。